リンパとむくみ対策
福岡にある鍼灸治療院HARIN~ハリンです。身体の水分とリンパ、むくみの原因、そしてその対策について簡単にわかりやすく解説していきます。
人間の身体の水分は、成人で50~60%程度です。また、血液は体重の約1/13程度で、例えば体重50kgの場合、約3.8kgが血液の重さになります。
血液の成分は約55%が水分(血しょう)で、残りの45%が赤血球、白血球、血小板などです。
酸素と栄養を運ぶ動脈と老廃物を回収する静脈
血管系では、血液は心臓から流れ出て毛細血管となり、酸素と栄養を細胞に運びます。静脈とリンパは余分な老廃物を回収する役割となります。
心臓から1分間に約6リットルの血液が送り出され、動脈を経由して流れ、そのうちの90%が静脈に戻ります。
残りの10%は、細胞を浸す組織液がリンパ管に吸収される別の経路です。成人では、このリンパ液の循環量は1日に約1リットル程度です。
組織液 ( 間質液 )
毛細な動脈には、栄養液を血管外の細胞組織に染みわたらせるための微小な穴があります。
この際、赤血球や白血球、血小板などの細胞は、分子が大きいため、血管の穴から漏れ出ることはありません。そのため、細胞の間質液である血漿は薄黄色を呈しています。
栄養を届け終えると、今度は、毛細な静脈が回収します。この組織液には、細胞から出た老廃物や細菌、ウイルスなどが含まれます。静脈に回収されなかった組織液がリンパ管に入るとリンパ液となります。
リンパ液
リンパ液が流れる管はリンパ管と呼ばれ、毛細血管と比較して、壁が薄いため透過性が高く、大きな分子や病原体が容易に侵入します。
リンパ管には半月弁があり、一方通行に進み、逆流は基本的に起こりません。
血液と比較して、リンパ液の流れは一定ではなく、非常にゆっくりしています。
筋肉の収縮と緩みがポンプの役割を果たし、リンパ液の流れを助けます。
リンパ節
リンパ管の合流地点には、扁平な形状のリンパ節が存在します。リンパ節は異物をろ過する役割を担い、リンパ球、マクロファージ、および白血球が存在しています。
これらの免疫細胞は異物を攻撃して破壊したり、取り込んで食べてくれます。リンパ球はリンパ液内を巡回し、敵を見つけると免疫細胞が反応します。
リンパ節を通過することで、リンパ液は常に病原体から感染を防ぐ働きがあります。
風邪症状があると喉の近くが腫れるのは、リンパ節が感染を検知し、免疫細胞が活性化して増殖するためです。
静脈
動脈は心臓のポンプ作用により血液を身体中に送り届けられますが、静脈やリンパは筋肉の動きに依存して流れます。
ふくらはぎの筋肉は、歩行や運動時に収縮することで、静脈やリンパの機能を補助します。
これにより、静脈血液が心臓に戻るポンプのような役割を果たします。
重力に逆らって下肢から血液を心臓に押し上げることで、ふくらはぎは実質的に第二の心臓として機能します。
むくみ
いわゆるむくみとは
- 血管内の水分が多くなりすぎて、血管外へ染み出して、組織液が増えている状態
- 組織液がリンパ管に吸収されずに滞った状態
- 静脈圧が上昇し、組織液の吸収が妨げられる
浮腫みやすい人の特徴
- インスタント食品を取る事が多い
- 長時間同じ姿勢が続く
- トイレを我慢する
- 運動習慣がない
- お風呂に浸からない
むくみの原因
- 塩分過多
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塩分を摂取すると、体内の塩分濃度を一定に保とうとする働きによって、水分を溜め込んでしまいます。
食後に喉が渇くのは、塩分を薄めようとする身体の反応です。
1日の塩分摂取量は、男性7.5g、女性は6.5g未満
インスタント商品には、栄養成分表示があります。ナトリウムの食塩相当量の確認をしてみて下さい。
- 運動不足
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長時間同じ姿勢や座位で下半身が圧迫されると、静脈やリンパの流れが滞り、むくみが起こりやすくなります。
安静時は流れが滞りがちなため、静脈やリンパの流れは筋肉の収縮と弛緩の動きに依存しています。
ストレッチや軽い運動で瞬時に身体が軽くなるのは、この流れが良くなりむくみが解消するからです。
- 血行不良
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血行不良により、筋肉の緊張が高まると、筋ポンプの機能が低下し、静脈やリンパの循環が悪くなります
むくみの対策
カリウムの摂取
カリウムは、腎臓でナトリウム再吸収を抑制し、その結果、尿中にナトリウムを排出する助けをします。
カリウムは食事から簡単にとる事が可能です
- 野菜:ほうれん草、トマト、にんじんなどの緑黄色野菜
- 果物:バナナ、オレンジ、キウイフルーツ、いちご
- 豆類:豆腐、豆類
- 魚介類:鮭やマグロ、イワシ
カリウムは水溶性で、調理中水に流れ出すため、果物や生野菜から摂取することが効率的です。
こまめな水分補給
慢性的な水分不足になると、体は今ある水分を蓄えようとします。
成人の尿の量は1日に約1.5リットルで、その他に皮膚からの蒸発もあります。一般的には1日に食事以外から約1リットルから1.5リットルの水を摂取することが推奨されています。
体内では水分量を一定に保とうとする仕組みがある為、一度に200ml以上の水を飲むと、
水分の急激な変化により血管の透過性が高まり、組織液が増えてしまいます。
また、腎臓の負担も増えるため、一気にまとめて飲むよりも、少量をこまめに摂取する水分補給が推奨されます。
意識的に身体を動かす
忙しくて運動する習慣が身につかない人も多いと思います。そんな方には、日常の動作を大げさにすることで簡単に運動を取り入れることができます。例えば、大股で歩く、階段を使う、信号待ちでつま先立ちを繰り返すなどがあります。
また、デスクワークの方には、イスに座ったままで行える股関節と膝の屈伸運動が効果的です。
背もたれがあり安定性の良い椅子で行ってください
- 膝の屈伸運動
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イスに深く座り、片脚ずつふくらはぎでイスの座面を5秒間挟み込みます。その後、膝を伸ばし、つま先を膝に向ける動作を行います。この動作を片方ずつ3回繰り返してください
- 股関節の屈伸運動
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イスに深く座り、片脚ずつ体育座りのような動作を行います。その際、膝を両手でお腹に引き寄せるように意識して、5秒間キープしてみてください
むくみの原因はさまざまですが、心臓の循環器機能、腎機能、肝機能の低下によって身体に水分が溜まり、水分がたまることがあります。体重の変動が激しかったり、尿量が減ったり、動悸や息切れを感じる場合、1週間以上続くむくみがある場合は、かかりつけ医に相談してみてください。
一時的なむくみは、健康な人でも発生します。若い頃は体重が安定していた人でも、朝と夜では1〜2kgの体重変動がある場合、それは浮腫みの兆候かもしれません。
加齢に伴う筋肉量の減少と共に増加し、女性の方が男性よりも多いとされています。
30代後半や40代になると、女性ホルモンのバランスの乱れから月経前にむくみを感じ、体重が増えることがあります。
鍼灸治療
お顔のむくみを取る美容鍼灸は即効性があり、下半身のむくみを取る鍼灸治療も一度で効果を実感できます。
ふくらはぎの筋肉を動かすと脳内の血流が増えるというエビデンスもあり、ふくらはぎのツボを、脳疾患の方の鍼灸治療として使用しています。
集中力が落ちたり、頭がボーッとする時にもふくらはぎのストレッチはおすすめです。
むくみ対策は、誰でもどこでも簡単に行えます。まずは、ストレスなくできることから始めてみてください。